δ17O用分析試料は、測定の準備が整っているものだけお引き受けできます。(濾過済み、化学物質の添加がされていない、前処理が必要でないもの)
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3種類の同位体の変動は、2種類の同位体を適用した場合と比較して、環境条件についてより多くの情報をもたらします。 2種類の安定同位体(1H, D)をもつ水素については、天水における軽水素(1H)から重水素(D)への変動によって生じる水の過剰重水素(d-excess)が、相変化時における湿度や同位体分別の評価に用いられてきました。 しかしながら、多くの地殻物質(蒸発岩)には水素(H)が含まれていないため、環境指標としてd-excessを適用できる対象が限られているのが現状です(Li et al., 2015)。
一方、酸素は3種類の安定同位体(16O, 17O, 18O)が存在し、多くの物質に含まれているため、酸素循環における蒸発・凝縮過程についてより多くの情報を引き出せる可能性をもっています。同位体分析の精度向上にともなって、三酸素同位体異常(Δ17O)や酸素同位体比(18O/16O, 17O/16O)の変動が特に重要な指標であることが分かってきました。最近の研究は、天水起源の水のΔ17Oの変動を解明することが主な目標となっており、将来的には他の物質におけるΔ17Oの挙動について研究がすすむと期待されます。
試験所の現在のCRDSは、水蒸気のδ17O ((17O/16OUNKN/17O/16OSTD-1)*1000)を誤差+/- 0.8 ‰もしくはそれ以下で求めることができます。また三酸素同位体異常 (Δ17O) の決定も可能です。
Δ17Oは17O/16O および18O/16O の質量依存同位体分別線からの偏差として定義されます。(Li et al., 2015) CRDSでδ17O および δ18Oを測定し、ソフトウェアによる計算でΔ17Oを求めます。
Δ17Oは、水の相変化が起こった時の条件(湿度、高度など) についての情報を提供します。 凝縮・蒸発時の同位体分別を考慮することによって、Δ17Oによる条件設定はより精密化します。
蒸発時にはδ18OとΔ17Oの両方が変化しますが、凝縮時にはδ18Oのみが大きく変動する特徴があります。 このことはδ17Oとδ18Oの値は、蒸発と凝縮では異なる割合で変動することを示唆しています。
Li, S., Levin, N. E., & Chesson, L. A. (2015). Continental scale variation in 17O-excess of meteoric waters in the United States. Geochimica et Cosmochimica Acta, 164, 110-126.
最終更新:2022年10月