Beta Analytic 能力と検出限界

ISO/IEC 17025:2017認定Beta Analyticでは 下記の化学分析を行っております

考古学 / 地質学に係る物質、水

  • 試験項目 : 放射性炭素年代/濃度の決定、14/13C, 14/12C, 13/12Cの測定
  • 測定方法 :    加速器質量分析 (AMS)
  • 範囲: 43,500 years BPから現在 まで(0.44 pMC to 198 pMC)
  • 検出限界: 43,500 years BP (0.44 pMC)

有機物および炭酸塩および水

  • 試験の種類と測定項目:
    – 安定同位体比の決定: 同位体質量分析計(IRMS)およびキャビティリングダウン分光法(CRDS) によるδ13C, δD, δ15N, δ17O および δ18Oの分析
    – 元素分析によるC:N 比, %C, %N
  • IRMSの範囲: -200 per mil から +100 per mil 
  • IRMS 検出限界:
    δ13C は 250 から 35,000 mV
    δ15N, δ18O, δ17O, δDは 1,000 から35,000 mV

バックグラウンドおよび検出限界

液体シンチレーション法 (LSC)またはAMSによる 放射性炭素年代測定 におけるバックグラウンド/検出限界は、長い間議論、調査の対象とされてきました。

ひとつの試料に関して1回の測定を行うだけで、48000 +/- 500 や 53000 +/- 2500 などの古い年代の報告を行っている年代測定試験所もあります。 しかしBeta Analyticで行ってきた独自の調査により、単一測定のみによるこのような古い年代の報告は、しばしば誤った解釈を導くことがあるということがわかりました。 Beta Analyticでは過去に中新世(Miocene)の石炭から前処理-調製した同一のグラファイトを7か所のAMS測定機関で分析を行ってきました。 その結果42000 to 53000という広い範囲の年代を得ました。

この検出限界の分散はTIRI, FIRI, VIRIなどの試験所間の国際比較調査で、準フォッシルまたはフォッシル試料が、ある試験所ではinfinite age( > x BP) 、ある試験所ではfinite age(x BP)という結果を不規則に示したことでも明らかになりました。

Beta Analyticでは、測定試料のアクティビティがバックグラウンドと統計的に同等な場合は、真でありかつ保守的な(安全な)最古年代として、43500BPを決定しました。 これは我々の独自のAMSの測定限界として完全に信頼できる値です。 このような理由からBeta Analyticでは43500 BPより古い絶対年代を報告いたしません。バックグラウンドと等しいまたは低いアクティビティの試料は、43500 BPより古い( >43500BP) として報告いたします。

Beta Radiocarbon Lab

AMS(加速器質量分析装置)による放射性炭素年代測定

AMSとは加速器質量分析装置(Accelerator Mass Spectrometry)を指します。Beta AnalyticのAMSは、最新の技術を用いて放射性炭素年代測定のために特別に設計されています。各機器には、SNICS(セシウム・スパッタリングによる負イオン源)イオン源が二つあります。 SNICSは比較的トラブルが起こりやすい部分であるため、システムを二重化することによってスループットを保証します。また、トラブルの際の影響を最小限にするためスペアパーツを多く在庫しております。

正確な同位体分別補正のために機器内でδ13C比を測定します。C14、C13、C12の連続注入によって、C14/C12とC14/C13比を両方使用して年代算出をすることができます。 C14/C12、C14/C13、δ13Cの計測を同時進行することによって、検出時の品質管理を確実に行うことができます。同時に三つの計測値を得ることができ、同位体分析の安定性を確認することできます。

AMSにおいて、同位体分別補正を行うためのC13/ C12測定に加えて、同位体比質量分析計によってもδ13Cが分析されます。Beta Analyticでは、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製同位体比質量分析計を2台を所有しております。

データを年代の計算に供する前に、カソード・カレント、エクストラクター・カレント、セシウム・フォーカス・カレント、高エネルギーC14/C12比、高エネルギーC14/C13比、低エネルギーC13/C12比、低エネルギーC12カレント、低エネルギーδ13C、 C14カウントなどのパラメータが検証されます。各パラメータが基準を満たせば、リファレンス・スタンダードとの関係により、試料のC14濃度が算出されます。

コンタミネーションがないことを保証するためにバックグラウンド試料は、未知年代試料をはさんで少なくとも2回以上測定されます。 またリファレンス・スタンダードは6試料以上、4試料以上の既知年代のサブ・スタンダードが同一ホイールで測定されます。

炭素安定同位体比の測定

炭素安定同位対比(δ13C比) の測定によって、measured radiocarbon ageの同位体分別の補正を行います。同位体分別の補正を行わないと最大で400年の誤差が生じる可能性があります。また炭素安定同位対比は骨試料から抽出したタンパク質の純度の判断の目安、植物の光合成サイクルの識別、地下水の性質、海性・淡水性の区別にも用いることができます。


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最終更新:2022年11月